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財団法人日本サイクルスポーツセンター委託研究

平成19年度  研究報告書

(第3報)

ペダリング矯正ギアのタイプ(形状)の検証

平成20年2月29日
報告者:順天堂大学スポーツ健康科学部
運動生理学研究室
 
1.はじめに  
    われわれは,第2報〔ペダリング矯正ギアの有効性の検証〕において,ペダリング矯正ギア(以下「矯正ギア」と呼ぶ)を用いた2ヶ月のトレーニングがペダリングスキルを有意に改善させたことを報告した。しかし,10名の被験者のうち改善の程度は一様ではなく,当然のことではあるが効果に個人差がみられた。図1第2報における速度37および46km/hの2 試行の力効率指数データであり,pre値とpost値との関係を示したものである。この図は,postにおいてまったく変化がなければIdentity line上にデータがプロットされ,Identity lineの垂直線の上方へ離れるほど改善が大きいことを示す。反対に下方では改善がマイナスとなる。このことから図1を観察すると,Identity lineの下にある1つは効果がマイナスであり,Identity line上の1つは変化がなかったことを示している。また,改善率は29.5±19.7%(CV値 66.7%)と個人間のばらつきが大きい。このように,効果の現れ方が個人個人異なるのはどのようなトレーニングにおいても当たり前のことであるが,トレーニング5原則に個別性の原則があるように(Ozolin 1965),個人の特徴に合わせたトレーニング方法の計画は重要な課題である。

 
<図1>力効率指数のpre値とpost値との関係
    矯正ギアのトレーニング効果に個人差があった原因を探るため,われわれは個人のペダリングスキルに着目して分析を行なった。その結果,ペダル踏力のピーク角度,つまり踏み込みのタイミングに原因がある可能性が高いことを突き止めた。図2は,図1と同様のデータ を扱ってpre-post間の改善率とペダル踏力のピーク角度との関係を示したものである。その結果から,改善率とピーク角度との間には有意な正の相関関係が認められ(r=0.523,P<0.05),ピーク角度が早いほど改善率が小さくなるという結果が示された。第2報のトレーニング実験の結果,トレーニング効果は踏み込みのタイミングよりも,下死点でのペダル踏力減少とベクトル角度の改善として現れた。矯正ギア利用者の感覚として,負荷が重く感じるというよりも,クランク角度が90゜を超えてから負荷が抜けるという感覚を報告する者が多かった。そのことを踏まえると,踏み込みのタイミングが遅い者ほど負荷が抜けるという感覚が分かりやすく,早い者ほど分かりにくいということが考えられ,そのことが図2の結果をもたらしたのではないかと予測される。また,図3はペダル踏力のピーク角度とクランク角度180゜(下死点)におけるペダル踏力(パワーで除したもの)との関係を示したものであり,ペダル踏力のピーク角度と下死点でのペダル踏力との間には有意な正の相関関係が認められている(r=0.47,p<0.001)。すなわち,ペダル踏力のピーク角度が早い者ほど,下死点で発揮した力 が小さくなることは,前述の予測を支持するのではないだろうか。これらのことから,踏み込みのタイミングが早い者には,負荷のピーク角度がより早い矯正ギア形状(タイプ)を適用することがトレーニング効果を高めると推察される。

 
<図2>ペダル踏力のピーク角度(pre)と力効率指数の改善率との関係
<図3>ペダル踏力のピーク角度と180゜ペダル踏力/パワーとの関係
    ここで,矯正ギアのタイプは出力特性を考慮して,主に『抵抗がピークとなる角度』と『抵抗の幅』(ギア半径が同じ歯数の真円ギアを超えている部分の区間の長さ)の2要素によって決定される(具体的には『抵抗の大きさ』も加わる。また単純な楕円形ではない)。第2報で使用したタイプは,理想のペダリングスキル修得のために理論的に製作されたもので,“抵抗がピークとなる角度がクランク角度90度”,および使用感覚が分かりやすいよう“抵抗の幅が狭い”タイプ(90N)であった。抵抗の幅については,ペダリングスキルが低い水準にある者には,幅が広いタイプ(より真円に近い)の方がより良い反応を引き起こすかもしれない。よって本研究では,主に抵抗のピーク角度に着目すると同時に抵抗の幅についても着目し,これら2要素がペダリングスキルの異なる者に対してどのような影響をあたえるのか検証することを目的とした。

 
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