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財団法人日本サイクルスポーツセンター委託研究

研究報告書

(第2報)

ペダリング矯正ギアの有効性の検証

平成19年2月28日
報告者:順天堂大学スポーツ健康科学部
運動生理学研究室
 
1.はじめに  
    スポーツにおけるパフォーマンスは,スキルと体力との積によって決定される34.自転車競技もその例外ではなく,身体動作のスキル的要素の大部分はペダリング動作に反映される1.ペダリング動作のスキルレベルは,ペダリング動作中の運動エネルギーの利用効率において判定できるが,この利用効率は.日本競輪学校に設置されている台上走行試験装置のデータから,高い競技能力を持つ選手であっても依然多くの改善の余地が残されていることが明らかにされている.しかし,ペダリング動作時の運動エネルギーの利用効率の改善については,従来より個人が意識してペダリングするという程度しか方法がない状態にあった.そこで,ジュニア層および経験年数の浅い競技者がペダリングスキルをより容易に向上・習得するためのツールとして新たな発想であるペダリング矯正ギアの理論を応用し,その効果の検証と考察を行うこととした.

  前年度の研究(第1報)では,被験者15名(5名:対照群,5名:TypeA,5名:TypeB)を対象に,形状が異なるTypeA,TypeBの矯正ギア,および通常の真円ギア(第一報参照)を用いた8週間のトレーニングを行なわせ,その前後で力効率指数を測定した.[*力効率指数の測定は,台上走行試験装置を用いて,時速37(90rpm),46(110rpm),55km/h(130rpm)の3つの速度で,20秒間の定常ペダリング運動を行なわせた.]

  その結果,ペダリング矯正ギアを利用した実験群と対照群との比較において,すべての速度域で実験群に力効率指数改善の傾向が示された.ただし,第1報では以下の点が課題としてあげられた.

 
  (1) 力効率指数の測定は,日本競輪学校の課業に支障をきたさぬよう,pre,postともに週末の土曜日に実施した.被験者となった競輪学校の生徒は,平日は午前午後とトレーニングを行なっており,土曜日は最も疲労が大きい状態にあった.スキルの発揮は,神経系の貢献が強いことから,疲労の状態はそれを妨げ,習得されたスキルが十分に発揮されなかったことが危惧される.そのため,測定の精度をより上げるためには,疲労が最も小さい休息明けの月曜日に測定を実施することが望まれる.

 
  (2) 被験者となった生徒は,競輪学校のトレーニングにおいて,自転車競技場(バンク)で使用する固定ギアタイプのトラックレーサーと,一般道(ロード)を走行するための多段階ギアを備えたロードレーサーの2種類の自転車を利用している.そして,生徒は競輪という種目の特性上,トレーニングではトラックレーサーを中心としたトレーニングであった.しかしながら,第一報での実験では,開発した矯正ギアがロードレーサーのクランクセットのみの対応であったことから,矯正ギアによるトレーニングはロードレーサーを用いて行なった.そのため,時間的に多くのトレーニング量が必要なペダリング矯正ギアの利用において,ロードレーサーだけでは実験期間内において十分なトレーニング量の確保に問題が残った.

 
  (3) 力効率指数データの再現性が低かったことから,測定時,被験者に対してのウォームアップ(w-up)の指示と管理が不十分であったことが考えられた.

 
  (4) トレーニングの効果測定は8週間のトレーニング前後(pre,post測定)の2回であった.そのため,トレーニング効果の時間的変化を捉えられず,ペダリングスキルの改善に必要な期間の検証が行なえなかった.


 
    そこで,以上4つの問題点を踏まえて,本研究では以下の点を課題として研究に取り組んだ.


 
  (1) 測定は疲労が小さい月曜日に実施する.

 
  (2) ペダリング矯正ギアはトラックレーサーにも装着できるように工夫を施し,トレーニングはロードレーサーに加えてトラックレーサーも利用する.

 
  (3) w-up方法を明確に指示し詳細に管理する

 
  (4) 8週間のトレーニング期間を通してトレーニング効果の時間的変化を捉えるため,トレーニング前後の測定(pre,post測定)に加えて,トレーニング中の測定(mid測定)も実施する.


 
    そこで,本研究では,上記の課題を改善するために測定およびトレーニング方法を改善し,より実験の精度を高めた条件でペダリング矯正ギアTypeAを8週間用いたトレーニング効果の検討を目的とした.


 
  *用語の定義の変更

  力効率指数:乗員がペダルに発揮した力(ペダルx軸y軸分力の合成力:ペダル踏力)に対する自転車の推進力(合成力のうちクランク軸に垂直方向の力:クランク踏力)の比率{クランク踏力(kgf)/ペダル踏力(kgf)×100}(%).星川ら2の論文を引用して,第1報で有効効率と定義していたものを修正した.力効率指数は,ペダリングスキルの指標として捉えられている.

 
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