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 レース調整期から当日にかけて何を食べるかはコンディション維持、パフォーマンス発揮に影響を及ぼします。では、どのように食事を考えていったらよいのでしょうか?
1. レース調整期の食事?
(1)食べなれた普段の食事を食べる
 レース前だからといって特別な物を食べなくてはいけないというものではありません。むしろ食べなれた食材を選び、かつ基本パターンである主食(ごはん・パン・麺類など)+汁物+主菜(肉・魚・卵・大豆製品などのメインのおかず)+副菜(野菜・海藻・イモ類などサブのおかず)+プラスα(果物・牛乳など)を揃えることを心がけます。
 ただし、この時期は普段より練習量が少なくなると思いますので、食べ過ぎて体重オーバーにならないように注意します。逆にレース前の緊張感から食欲が落ちてしまう選手もよくみかけます。そんなときは、コンディション維持を前提としたうえで、嗜好を優先した“食べられる献立”にします。
(2)ビタミン・ミネラル類を十分に摂る
 レース前は緊張感が高まり、ストレスがかかりやすい傾向にあります。また風邪で体調を崩した状態でレースに臨むなどということのないようにしなければなりません。コンディションを維持するために、ビタミン、ミネラル類を多く含む副菜や果物を十分摂るようにします。
(3)なま物は控える
 食中毒予防の点から生ものは控えます。また、地方遠征ではその土地ならではの珍しい食品に出会ったりしますが、レース前は緊張感から消化能力が低下する傾向にあります。食べなれない食品は消化不良を起こしやすいので、レース終了後のお楽しみにしましょう。
(4)便通を整える
 レース当日、便秘で腹痛を起こさないためにも、食物繊維を多く含む海藻、きのこ、ごぼうなどの野菜、などを摂るようにします。また毎日決まった時間(朝食後が最も腸の蠕動運動が活発です)にトイレに行く習慣をつけることも大切です。
ただし、レース日当日はお腹が張りやすいので、これら食物繊維の多い食品を使ったメニューは控えるようにします。
(5)レース開始時刻に照準を合わせる
 レース開始時刻から逆算して、食事や補食の時間、起床時刻などを設定し、生活のリズムをレースに合わせていきます。
 表1はシドニー・オリンピック時の自転車競技短距離選手のレース当日の食事タイムスケジュールです。事前に何度かシミュレーションを行い、レース当日に向けてリズムを整えていきました。

2. レース前日から当日の食事 →レース時間までの時間別食べ物、飲み物ガイドはこちら
(1) 主食多め、主菜少なめで!
 運動中の主なエネルギー源は筋肉と肝臓に蓄えられたグリコーゲンです。これらを満タンにしておくには主食に多く含まれる炭水化物という栄養素が必要です。レース前日から当日にかけての食事は、ごはん、パン、うどん、パスタ、おもちなどの主食を中心とし、主菜はやや少なめの食事とします。
(2) ビタミン・ミネラルをしっかり摂る
 ビタミンやミネラルはエネルギー代謝に欠かせないので不足しないように摂ります。これらは副菜の野菜や、果物が主な供給源です。
(3) 脂肪は控えめにする
 消化吸収に時間がかかる脂肪は控えめにします。調理法も消化されやすいように工夫し、揚げ物などは控えます。
(4) 食物繊維は控えめにする
 レース調整期には便秘予防対策としてしっかり摂ることをお勧めしましたが、緊張感が高まるレース前日、当日は消化吸収能力も低下しがちです。食物繊維の摂りすぎはお腹が張ったり、下痢を引き起こす原因にもなりかねないので控えます。
(5)生ものは厳禁
 生ものについては、レース前調整期から継続して控えるようにします。また牛乳は、飲むと下痢をしやすい選手もいるので気をつけます。
(6)炭水化物の消化吸収時間を考慮したうえでの補給

レース当日の食事(エネルギー補給)はレース開始までの時間を考慮したうえで食品選びをします。
 まず、(1)〜(5)のような食事はレース開始の3時間くらい前までに摂るのが理想的です。しかしレース開始時間やスケジュールによっては、理想的な時間に食事が摂れないことも少なくありません。また1日に2レース、3レースとこなさなくてはならないときもあります。こんなときは、炭水化物の種類を考えて食品を選び、補食をとり入れます。
 炭水化物は炭素を含むひとつの分子で、それがいくつもつながることで形を変えて存在しています。この炭水化物の分子が1個で存在しているのが単糖類、単糖類が2個つながったものが二糖類、3〜10個つながったものが少糖類、それ以上が多糖類ということになります。これらは体内での吸収のスピードが違います(図1)。この吸収速度の違いを考えてエネルギー補給することが大切です。レース開始2〜3時間前であれば、多糖類のパン、ごはん、もち、うどん、パスタなど。1時間くらい前であれば、少糖類のエネルギーゼリーなど。30分くらい前であれば、単糖類の果物やスポーツドリンク、ブドウ糖のタブレットなどがおすすめです。ただし70〜75gのブドウ糖を摂ると急激に血糖値が上昇し、これを下げるためにインシュリンというホルモンが分泌され、一時的な低血糖を招いてしまうという報告がありますので注意が必要です。果物の果糖はインシュリンを分泌させにくいので運動前のエネルギー補給におすすめです。
 写真1・2はシドニー・オリンピック自転車競技オリンピック・スプリントのレース当日の昼食と、用意した補食です。選手たちはレース開始の4時間前に昼食を摂り、2時間前にはおにぎりやパンケーキ、パンといった補食を摂ってレースに臨みました。1回戦のレースの後は次のレースに合わせてエネルギーゼリーや果物などでエネルギーを補給しました。さあ、皆さんもレース前のエネルギー補給をしっかり行って、万全の体制でレースに臨んでください。


<表1>レース当日のタイムスケジュール
8:00 起床・朝食  
14:00 昼食 消化吸収時間を逆算して4時間前にとりました(写真1)
15:00 アップ開始  
15:30 補食1 おにぎりやパンでエネルギーを補給します(写真2)
16:00

レース1回戦

 
1回戦終了後 補食2 吸収の速い炭水化物(果物、エネルギーゼリーなど)でエネルギーを補給します(写真2)
19:45 レース2回戦  
21:30 軽い夕食 疲れているので選手の食べやすいメニュー
<写真1>
エネルギー源である炭水化物中心。
消化がよく食べやすい献立とした。
<写真2>
レース当日の補食。選手はレース開始時刻に 合わせて補食をとります。

<図1>炭水化物の種類と吸収の速度
   
 
<レース時間までの時間別食べ物、飲み物ガイド>
☆レース開始までの時間別おすすめ食べ物、飲み物
レースまで
3時間以上 朝食は必ず食べよう!
朝食は炭水化物(主食)中心の油の少ないものを。
・ごはん・パン・パスタ・うどん・餅等をまず優先。
・食べられれば卵料理、ボイルハム、納豆など
・できれば野菜(茹でたり煮たりしてあるものがお薦め。野菜ジュースでもOK。
但しきのこなどの食物繊維の多い食品は控えよう)も少し食べたいですね!

エネルギー源の炭水化物を代謝するにはビタミンB1が必要なのでその補給のために
<ビタミンB1の多い食品>
・ 豚肉
・ ハム
・ 豚レバー
・ 豆腐など大豆製品 …etc
2時間 炭水化物(主食)中心の軽食 ・ごはん ・パスタ・うどん
・パン(デニッシュは油が多いので×)
・バナナ・100%果汁ジュース・ミネラルウォーター
30分 消化の良いものを少量
・バナナ・100%果汁ジュース・ミネラルウォーター
甘いお菓子類(お砂糖を使用してあるもの)は「インシュリン反応性の低血糖」をおこす(疲労を早める)ので控えて!
10分〜5分 吸収の速い糖を少量
・ブドウ糖のタブレット・あめ・スポーツドリンク・ミネラルウォーター
レース レース終了後なるべく早くに・・・吸収の速い糖を
・ ブドウ糖のタブレット、100%果汁ジュース(柑橘系がお薦め)、レモネード、スポーツドリンクなどを少しでいいので口に入れよう。速ければ速いほど次のレースにむけてのエネルギー源であるグリコーゲンの再合成の効率が良くなります。
☆試合当日は、レースのためのエネルギー補給を第一に考えましょう。
 卵やお魚などのたんぱく質よりも、ごはん、パン、パスタなどの主食(炭水化物)優先に考えてください。
 
       
   
       


 
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