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  4.ペダル踏力とクランク軸回りのパワー変化(30秒全力漕ぎの場合)  
     
 
<図10>
静止状態から30秒の全力漕ぎを行った場合のペダルにかかる力ベクトル(合成踏力)。クランク角度が0゜を越えてからの1回転について示している。運動開始からの時間は、2回転目が2秒後、8回転目が6秒後、12回転目が12秒後。(淵本作成)。
   <図11>
ペダルを踏む力(合成踏力)とペダルを回転させる力(回転踏力)。(淵本作成)
 
 
  図10は競輪学校にある固定自転車を使って静止状態から全力で30秒間のペダリングを行った時のペダル踏力です。矢印が力の大きさと方向を示しています。図は2回転目、8回転目、22回転目の0oを過ぎてからの1回転分を示しています。2回転目と8回転目は加速段階(立ち漕ぎ)、22回転目は最高速度に達した時点(座り漕ぎ)です。図10の矢印は選手がペダルに加えた力(図11の合成踏力)ですが、クランクを回転させる力はこの内のクランクに直角の成分(図11に示した回転踏力)だけです。つまり、合成踏力がいくら大きくても回転踏力が小さいと、クランクを回転させるのに役立ちません。このような観点で図10を見ると、上死点(0o)と下死点(180o)ではほとんど回転踏力のないことが分かります。最も大きな回転踏力は90゜付近で出現します。また、90゜から180oの間は無駄な踏力の大きいことが分かります。しかし、この無駄な踏力は立ち漕ぎで体重を支えるのに必要な力です。2回転目と8回転目の加速段階には180oから360゜の間で積極的にペダルを引き上げていますが、22回転目の最高速度時点、すなわち加速がなくなった時点ではこの積極的な引き上げがなくなっています。しかし、180oから360゜の局面で脚に力を入れなければ足の重さがブレーキになりますので、22回転目でブレーキ力が出ていないということは選手は積極的に脚の引き上げを行っているということです。この点を勘違いしてはいけません。選手は常に足が円運動をするように積極的な力を発揮しています。  
     
 
<図12>
30秒全力漕ぎにおけるクランク回転速度、ペダル合成踏力、クランク軸まわりのパワーの変化。(淵本作成)


図12は30秒全力漕ぎを行った時のクランク回転数(回転速度)(上段)、ペダル回転踏力(中段)、クランク軸まわりのパワー(下段)の変化を示しています。横軸の時間は3000が30秒に相当します。クランク回転数は1秒あたりの回転数(rps)です。2.5rpsは150rpm(1分当たりの回転数)に相当します。クランク回転数は開始12秒でピークになり、その後疲労とともに徐々に遅くなります。ペダル回転踏力(クランク軸に直角の力)は左右の合計で表しています。回転踏力は1回転ごとに大きく変動していますが、ピークだけをみると、スタート直後に最も大きな力を発揮し、6秒まで直線的に大きく減少し、6秒から15秒まで減少が緩やかになり、その後もっと減少が緩やかになります。回転踏力の大きさはスタート直後と30秒後では5倍以上差があることが分かります。パワーは回転踏力に回転数を掛けたものです。自転車の場合、同じ速度で走っても、ギア比、クランク長、空気抵抗によってペダルの回転踏力や回転数が異なりますので、選手の発揮能力を調べるにはパワーを用いるのが良いと思います。このパワーは8秒あたりでピークとなり、その後15秒まで急激に減少し、その後緩やかな減少を示します。
 
     
 
<図13>
ペダル1回転における右のペダル合成踏力と回転に有効な回転踏力の変化。(淵本作成)


図13はペダル1回転における合成踏力と回転踏力の変化を示しています。黒線と赤線で囲まれた部分がクランクを回転させるのに使用されない力ですでが、このある意味での無駄な力は回転が進むほど大きくなっています。また、22回転目では180oから360゜の間で、僅かにマイナスの力、すなわちブレーキになる力が出現しています。これは、図10でも説明しているように、選手は脚の積極的な引き上げを行っているのですが、その力が脚の重量よりも僅かに小さいので、ブレーキの力が発生してしまっているのです。
 
     
 
<図14>
ペダル1回転におけるペダル回転踏力の変化。左右の力とそれらの合計。(淵本作成)


図14は右ペダル(赤線)と左ペダル(青線)の回転踏力とそれらを合計した全回転踏力(黒線)を示しています。右クランクと左クランクは一体になっているので、クランク軸を回転させる力は右と左の合計になります。全回転踏力も90゜と270゜付近で最大になり、180oと360゜付近で最小になります。22回転目において、左右それぞれのペダルではブレーキ力が発生していても、反対側のペダルでそれをカバーしているので、全回転踏力ではすべてプラスの力(回転に有効な力)になっています。しかし、30秒の全力漕ぎを行うと、25秒から30秒付近では疲労のために全回転踏力でも僅かなブレーキが発生します(図12中段参照)。
 
     
       
   
       
 
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