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  3.実走行中の速度、トルク、パワー(SRMパワーメータによる測定)  
     
  選手がクランク軸まわりでペダルを回転させる力をトルク(または回転力)といいいます。トルクはクランクに直角の方向にペダルを踏む力とクランクの長さを掛けたものです。また、このトルクにクランク(ペダル)の回転速度を掛けたものをパワーといいます。
 
  トルク(回転力)(Nm) = 力(N) × 回転半径(m)
パワー(W) = 力(N) × 速度(m/s) = トルク(Nm) × 回転速度(rad/s)

 
     
 
<図7> フライングスタート500mの速度、クランク回転速度、クランク軸回りのトルクとパワー。赤線は推定した重心速度。(淵本作成)


図7は250mトラックにおいて、500mをフライングスタートで走った時の車輪速度、クランク回転速度、クランク軸まわりのトルク、クランク軸まわりのパワーの変化を示したものです。横軸は距離です。この計測はSRMパワーメータという装置を自転車に取り付けて行いました。注目すべき点は車輪速度です。車輪の速度はカーブの中央で最高となり、直走路で最低速度になります。ここでいう車輪速度とは車輪の回転速度に車輪の周長を掛けたもので、車輪と地面との接点の移動速度と同じです。皆さんはカーブの中央でなぜ速度が最大になると思いますか?私が考えた答えは次のとおりです。自転車に選手が乗車している時の本当の移動速度は重心の速度です。重心はサドル付近にあると思われます。この重心の速度は、できるだけ現在の速度を維持しようとする性質があるので、図7における直走路での速度を結んだ線(赤線)のような変化をしていると思います。つまり、直走路の速度は本当の速度ですが、カーブの速度は本当の速度ではありません。カーブにおいては選手と自転車は大きく内傾するので、重心は接地点よりかなり内側を通過します。したがって、カーブにおいて重心の移動距離は接地点の移動距離より短くなります。重心の速度は滑らかに変化するので、それより遠回りする接地点は自然に速度が増加すると考えられます。結論として、カーブで自転車を傾けると自然に車輪の回転速度は上がるということです。
   
 
<図8> スタンディングスタート250mの速度、クランク回転速度、クランク軸回りのトルクとパワー。(淵本作成)


図8はスタンディングスタートから250mを全力で走った場合のSRMデータです。速度は、スタート後100mまで急上昇し、その後緩やかに増加して、200m付近で最高値になると考えられます。トルク(力)はスタート直後に最も大きく、40mから180mまで急激に減少しています。スタンディングスタートの場合はスタート直後にいかに大きなパワーを出せるかがポイントになります。
   
 
<図9>縦1列に並んだ選手3名によるフライングスタート250mの、3番手選手の速度、クランク回転速度、クランク軸回りのトルクとパワー。(淵本作成)


図9は縦1列に並んだ選手3名がフライングスタート(0m)をして1列のまま160mまで走り、その後3番手選手が250mまで独走した場合の3番手選手のSRMデータです。3番手選手は約18m/sの一定速度(直走路)で走っていますが、3番手についている時のパワーは独走したときの66%しか発揮していません。3番手につくと空気抵抗が小さくなり34%のエネルギーを節約できることになります。また、3番手についている時のパワーが大きな振幅で増減していますが、これは前の選手と一定の間隔を保つために力を調整している結果と考えられます。
   
 
       
   
       
 
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